宝石は大自然の創造物です。産地や種類による特性の違いはもちろんのこと、その品質は様々です。人間一人一人の性格や容姿が異なるように、宝石にも美しさ、色の濃淡や、大きさと、一つ一つに個性があります。
『宝石の装身具』は、それぞれの宝石の異なる個性を熟慮して、美しさが充分に引き出されたもので、流行に左右されることなく永く楽しんで、次の世代に喜ばれながら受け継がれてゆきます。金やプラチナなどを主体に形が作られた『貴金属の装身具』や、ガラスや合成石を使った『その他の装身具』とは作り方も使われ方も異なります。貴金属の装身具は、時が過ぎると飽きてしまい、流行が終わると着けなくなってやがて溶かされてしまいます。その他の装身具は、いずれ使わなくなったり、壊れると捨てられてしまいます。
宝石の装身具は、まず美しく欠点のない素材選びから始まります。美しさに欠ける宝石は、いくら美しく見せようとしても、本当の美しさを楽しむ事は出来ません。また欠点となるキズや内包物は、耐久性に影響したり、見た目の心地良さを損ねて永く使うことは出来はできません。
素材選びの次に、その宝石の特性を考慮しながら、リングを作るのか、ペンダントを作るのか等が検討されます。例えば硬度の低いタンザナイトやぺリドット等のカラーストーンをリングにすると数年後には稜線が磨耗して、美しさを損ねたり、破損してしまう事もあるのです。
よい素材を吟味し、適切なアイテムに作る方針のもと、どのようにその美しさを引き出し際立たせるかが考えられて宝石の装身具が仕立てられてゆきます。例えば、小粒ダイヤモンドは一粒では輝きが弱く美しさを発揮できませんが、集合させて極小の爪で隙間なくセッティングすると、大粒ダイヤにも匹敵する輝きを引き出すことが出来るのです。
逆に、いくら美しく欠点のない素材を使っても、ディレクションが悪いと、美しさを引き出すどころか駄物にもなりかねません。
優れた建築家のディレクションよって、住む人の身になって設計がなされ、木材等が吟味された家は住み心地がよく、丈夫で50年100年と受け継がれてゆきます。
優れた監督のディレクションによって役者が選ばれ、演出された映画は年月を経ても人に感動を与えてくれます。同じように優れたディレクションによって作られた『宝石の装身具』は、身につけて美しさを楽しみ、心地良さを感じ、喜ばれながら次の世代に受け継がれてゆく宝石の本質を与えてくれるのです。 |