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宝石辞典

産地の特色


アレキサンドライトは1830年にロシアのウラルでまず発見され、1900年近くになってスリランカ、そして1987年にブラジルのミナス・ジェライス州で良質のものが大量に産出されました。日本にもかなりの量が持ち込まれ、経済の好調期には多くのユーザーの手に渡りました。しかし、その後ブラジルでの産出が振るわず、アレキサンドライトの稀少性は高くなっています。そのほか、ジンバブエ、タンザニア、ミャンマー(ビルマ)からも産出します。


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ロシア・ウラル産


ほとんど採り尽くされたといわれていますが、ロシアの自由化によって少しずつ研磨地に原石が入ってくるようになってきています。ロシアのウラル地方のものはグリーンから赤紫にはっきりと変るのが特徴です。しかし内包物が多いものが大部分で、ジェムクオリティの産出は限られています。

ブラジル産


1987年に突然、3ヶ月間に50キログラムという大量のアレキサンドライトがミナス・ジェライス州で産出しました。それまでもキャッツアイとともに少しずつは産出はありましたが、1987年の産出は群を抜いていたようです。ブラジル産アレキサンドライトは透明度が高く、太陽光線や蛍光灯下ではブルーが強めのグリーンをしています。それが白熱電球下では赤紫にはっきりと変わります。


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スリランカ産


スリランカでもキャッツアイとともに産出します。ロシア産より大きなものも産出しますが、若干黄色みのあるグリーンで、一般的に赤への変化が他の産地のものに比べ弱いのが特徴です。色の変化のごく少ないものは、アレキサンドライトとしては価値の低いものです。また変化しないものはアレキサンドライトではなく、単なるクリソベリルです。

品質の見分け方


透明度が高く、形(なり)が良く、キズも肉眼で見えるようなものがないことを前提として、太陽光線の下で美しいグリーン表し、それが白熱電球の下ではっきりとパープルぎみの赤に変わるものがジェムクオリティです。色の変化のしかたがはっきりしないものは、その程度に応じてジェムクオリティ、アクセサリークオリティとなります。右のクオリティスケールでは大部分の石がグリーンと赤に変化しますが、透明度と形(なり)とキズの程度で位置づけされています。また色の変化が顕著でも、グリーンと赤の色みの美しさもビューティーグレードに大いに影響を及ぼします。


大きくなるほどグリーンは黄色みを増し、赤は茶色に近くなる傾向があります。5カラットを超える美しいグリーンと赤の色みのアレキサンドライトは非常に稀で高価です。


選び方


アレキサンドライトを購入する時の決め手は、なんといってもグリーンから赤への色の変化の強さを見極めることです。ただしアレキサンドライトのグリーンの美しさは、エメラルドのグリーンの美しさには到底かないません。形(なり)が良くキズの少ないことはもちろんですが、色が変化しないものはアレキサンドライトとみなされません。また太陽光線の下で初めからかなり赤みが強すぎるものの中には、アレキサンドライトとはいい難いものがあります。


ジェムクオリティはかなり高額なうえ稀少で、1~3カラットのものは宝石コレクションになってしまうほどです。よく色の変化するジュエリークオリティのものは、珍しさを身につけるという観点で選ぶとよいでしょう。


1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり4,000USドルが目安です。 (2004年現在)


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