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宝石辞典
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ダイヤモンドという言葉は、ギリシャ語のアダマス(”征服される”の意)が語源です。自然界で最も硬い物質であることから、こう呼ばれたのでしょう。

ダイヤモンドは1725年頃ブラジルで発見されるまでは、インドが唯一の産地でした。インドでは紀元前800年にはすでにお守りとして尊ばれ、価値あるものだったようです。その後、ペルシャのインド侵略を契機にダイヤモンドがヨーロッパに伝わっていったといわれています。かつてインドでは、カットは原石の欠点のある部分だけを取り除くだけのもので、原石の目減りを最小限にとどめていました。ヨーロッパでは15世紀になると、王室の女性たちがダイヤモンドを身につけはじめました。また現在の研磨のもととなる、ダイヤモンドパウダーを使う新しい研磨技術が開発されました。そしてローズカットに続き、17世紀の中頃にはマザランによってブリリアントカットの原形が発明され、改良が加えられていきました。ブリリアントカットは、原石のロス率が50%またはそれ以上にもなりますが、ダイヤモンドの美しい輝きが引き出せる画期的なものです。

次ページ写真のダイヤモンドの美しさは”虹色の分散光””強い輝き””きらめき”のほどよいバランスで成り立っています。太陽光線や電灯の下では、プリズムに見られるような赤、黄、緑、青の分散光(ディスパージョン)がダイヤモンドの内部から放たれます。そしてダイヤモンドを動かすと、カットによって作られたモザイク模様が強い輝きを伴ってきらきらときらめき、そのさまはなんとも神秘的です。

”分散光””輝き””きらめき”の三つのバランスは、カッターが決める角度によって微妙に変化します。虹色の分散光をより多く出すと輝きが多少犠牲になり、すげてが最高になることはありません。自然の力によって一つひとつ個性を持って生まれたダイヤモンドの原石は、人間の技術によってまた一つひとつ個性が与えられます。

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