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宝石辞典

鉱山の特色


現在のエメラルドの主要産地はコロンビアで、世界のシェアのおよそ50%を占めています。ザンビアが約20%、ブラジルが15%、次がジンバブエといわれています。エメラルドビジネスはパラレルマーケットが多く、正確なデータは入手不可能です。その他、パキスタン、アフガニスタン、オーストラリア、マダガスカル、タンザニア、ロシアなどで産出しますが、市場に影響力を持つ量には達していません。

ザンビア産エメラルド (オイル処理)

コロンビア産


コロンビア産エメラルドは、原石が六方柱形で産出するものが多いのが特徴です。この原石の特徴を生かして、周囲に皮のようについているグリーンの層を残し、また重量を保つために、通常の場合エメラルドカットに研磨されます。宝石の形はこのように原石の形に制約されることが多く、ダイヤモンドでもペアーシェイプカットやマーキスカットは、天然の与えてくれた原石の形を生かして目減りを最小限にするような方向で研磨されているのです。

ザンビア産


ザンビア産エメラルドの原石は丸みを帯びているため、オーバルカットに研磨されます。エメラルドカットにすると小さく仕上がってしまうケースがあるためです。ザンビア産が一部のブラジル産と色み、原石の形、インクルージョンが類似しているのは面白い現象で、その生成過程が同じためと思われます。ザンビア産はオーバルのほかに、ペアーシェイプカットにされるものも多く見られます。

ザンビア産エメラルド (オイル処理)

ジンバブエ産


ジンバブエ産は、その鉱山の名サンダワナエメラルドとして知られています。カットされたサンダワナエメラルドの平均目方は0.08カラットと小粒ですが、黄色みのグリーンで独特の美しい色みをしているエメラルドです。サンダワナエメラルドはラウンドやスクエアに研磨されて、高品質なジュエリーの素材として使われています。研磨は大半がジンバブエで、一部がインドのジャイプルで行われています。

品質の見分け方


ザンビア産のエメラルドグリーンはコロンビア、ジンバブエのそれとは異なります。グリーンはバナジウム元素がその原因だと思われますが、ザンビア産のグリーンは石全体に均一に分散していて、コロンビア産は色が表層に片寄っています。均質な素材のザンビア産よりも、不均質なコロンビア産のほうが魅力的に見えるのは不思議ですが、それは透明度、彩度、多色性、色の豊かさ(深み)、キズ、色相(色み)など、さまざまな要素が複雑に絡み合っているからなのです。


ザンビア産エメラルドは0.5カラットを中心に、オーバルシェイプカットで美しいものが見られます。透明度が高く、色に深みがあるものも存在し、高品質なジュエリーの素材となります。しかし大部分はオイルや樹脂含浸が施されたアクセサリークオリティで、明度が4~3、ビューティグレードがC、Dのゾーンになります。2カラット以上のものも研磨されますが、色の均質性が原因してか、コロンビア産が持っているような温かい優しさに欠け、ブルーみの強い冷たい色みが見られます。


選び方


0.5カラット前後のアクセサリークオリティのエメラルドを求めるには、ザンビア産のオーバルカットが最適です。アクセサリークオリティでは、通常の場合ブラジル産と区別せず一緒に扱われます。


コロンビア産にはない別のグリーンを楽しみたい時、またオーバルカットやペアーシェイプカットを探す場合は、ジェムクオリティが少なくともジュエリークオリティのものを選んで、経年変化による美しさの低減を心配しない品質を求めたいものです。100万円を超えるジュエリーの主石の場合は、例外を除いて美しさの勝るコロンビア産が適しているといえます。


1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり2,500USドルが目安です。(2004年現在)

(宝石1 / ザンビア産エメラルド (オイル処理)に掲げた値段とジュエリークオリティの価値は、軽度のオイル処理の品質をベースにしたものです。極端にオイル処理等をしたものは一見美しく見えますが大幅に安いものがあるので、注意が必要です。)


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