3個の美しい宝石、たとえばルビー、レッド・スピネル、ロードライトの価値は、なぜ異なるのでしょうか。それは宝石の種類が違うからです。
宝石は種類ごとに独特の美しさを持っています。個性ある色み、それに適した濃度、産地特有の粒の大きさがあります。たとえば色みの場合、美しいロードライトの赤紫の青みはルビーではマイナスに評価されます。また硬度や耐久性の鉱物特性が研磨に影響し宝石種の味を造りだします。同じベリルという鉱物でもエメラルドはもろく欠け易い一方アクアマリンは安定していることはよく知られている違いの一例です。宝石種を知らずに宝石の価値を掴むことはできません。
宝石は種類によって、その産出量は大きく異なります。ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、エメラルドは産出の少ないものです。ダイヤモンドの年間産出量は約1億2千万カラット、24トンで、半分が宝石用に研磨されます。しかし削り取られてしまう部分を考慮すると、年当たり約4トンだけになってしまいます。トラック1台分にもならない量を全世界の人々が分けあっているのです。
宝石は、人気のある時には低品質のものまでファセットカットされますが、量に余裕があると、低品質の結晶はカボション、ビーズ、彫刻などにされます。また、処理をするかどうかが研磨する範囲を変えることにもなり、種類ごとに原石の特性、需要、技術などが複雑に絡んで研磨が行われます。
美しいレッド・スピネルの供給はわずかで、加熱処理によって増産できないこともあって、現在ではコレクターピースになっています。右の写真のロードライトは、無処理の美しい紫がかった赤ですが、産出量が比較的多いため、ルビーやレッド・スピネルよりも安価です。このように同程度の美しさで別種類の宝石の価値は、宝石の格と産出量が大きく影響します。
現在宝石の種類は、宝石名で分類すると約50種類になります。この分類には、厳然として人々に受け入れられ、評価されてきた各々の宝石の歴史があります。 |
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宝石の種類を考えるとき、重要な要素は硬度です。自然界にはモース硬度7の石英が多いので、硬度7以上とそれ未満では、宝石の傷み具合に差があります。ガラスの箱に入れて飾っておくだけなら硬度を気にする必要はありませんが、装身具として使うものだから硬度が大切なのです。
それがめぐりめぐって、鉱物種、硬度、光学的特性、産出の稀少性の要素をふまえ、1860年に宝石を五つのグループに分類したドイツの鉱物学者カール
E.クルゲの記述は、宝石の格を知るために役立ちました。クルゲの分類で第1ランクの宝石は硬度が8〜10のものです。伝統あるエメラルドが第2ランクに入っているのはベリルという鉱物種で分類されたためです。またスピネルが第1ランクにジルコンが第2ランクにリストアップされていてクルゲが硬度と透明度にこだわったことがよく判ります。
右に記した現代の宝石分類は本書「宝石2」と「宝石1」に掲載した宝石種を5ランクに分けてまとめたものです。その宝石の美しさ、伝統、硬度と耐久性の3つの要素をふまえ、最適サイズのジェムクオリティを想定して私がランク付けしたものです。このランクはベリル等の鉱物種ではなくエメラルド、アクアマリン等の宝石種で分類しているのでクルゲの分類にあった矛盾はありません。
ペリドットやタンザナイトは硬度の低い宝石ですが、利用の仕方が適切ならばその美しさを十分楽しめます。リングにセットして使う場合の傷みとペンダントやブローチとした時は十数年単位で考えてみると傷み具合はまったく違います。 |
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| 種類の異なる赤系の宝石です。それぞれの産出量の差が価値に影響を与えます。 |
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| 現代の宝石分類 |
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( )は硬度
第1ランクの宝石
ダイヤモンド (10)
ルビー (9)
サファイヤ (9)
エメラルド (7 1/2〜8) |
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第2ランクの宝石
ファンシーピンクダイヤモンド (10)
ファンシーブルーダイヤモンド (10)
ファンシーイエローダイヤモンド (10)
スタールビー(9)
スターサファイヤ(9)
アレキサンドライト(8 1/2)
キャッツアイ(8 1/2)
ジェダイト(6 1/2〜7)
ブラックオパール(5〜6 1/2) |
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第3ランクの宝石
ファンシーカラーサファイヤ (9)
レッドスピネル (8)
インペリアルトパーズ (8)
ピンクトパーズ(8)
アクアマリン(7 1/2〜8)
ロードライト(7〜7 1/2)
アメシスト(7)
ツァボライト(7)
ペリドット(6 1/2〜7)
メキシコオパール(5〜6 1/2)
ライトオパール(5〜6 1/2) |
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第4ランクの宝石
グリーントルマリン(7〜7 1/2)
パライバトルマリン (7〜7 1/2)
シトリン (7)
タンザナイト(6〜7)
ボルダーオパール(5〜6 1/2)
ピンクコーラル(3 1/2) |
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第5ランクの宝石
アイオライト(7〜7 1/2)
バイカラートルマリン (7〜7 1/2)
ブルージルコン (6〜7 1/2)
ムーンストーン(6〜6 1/2)
トルコ石(5〜6)
ラビス・ラズリ(5〜6)
アンバー(2〜2 1/2) |
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