サイズは品質の大切な要素です。大きさは宝石の美しさを深めるのです。大きい宝石には存在感があります。しかし小さいサイズのものが美しくないと決めつめられないし、大きいサイズのものが必ずしも美しいとは限らないところがサイズの不思議です。サイズによって美しさは異なり、サイズによって美しさの出方はちがってきます。しかし立体的なファセットが造る美しさを楽しむことに関して言えば大粒の宝石は小粒のものよりはるかに秀でた資質を持っています。
次ページの無処理のミャンマー産サファイヤは、明度(Tone)は7と高いにもかかわらず豊かなブルーをたたえています。淡い部分がモザイクのバランスをとり、この宝石の美しさを引き出しているのです。大きなサイズの宝石は稀少であるから高価である前に、このように類い稀な美しさ故に貴重なのです。
宝石の色は濃ければ濃いほど美しく見えるはずです。しかし宝石の面積・体積が十分でないとそれはただ暗く見えるたけです。大きいサイズで美しい色の濃さが、小さいと暗すぎて美しく見えなくなるのです。大きい宝石はそういった色の濃さを何段にも分けてモザイク模様として取り込むことが出来ます。これが色の深みでありカラーストーンの神髄です。大きいものが美しいのは色の深みが増すからです。
次ページの加熱パイリン産サファイヤの明度は4です。連鎖の美しさを発揮させることが出来る素材で、数個にまとめて組み合わせて宝石の装身具に使われます。小粒の明度6〜7は暗く見えモザイク模様は表われないのでジュエリーの素材には向きません。
本文中に掲げたクオリティスケールは、大部分を主石となるサイズで構成し、品質3ゾーンを定めてあります。しかし最適な明度は大きさによって1〜2前後変わることがあります。宝石を比べるには理想をいえば同じ形、カット、大きさのものとなりますが、現実には1カラットサイズのマスターストーンを使って、10カラットや0.1カラットを見ることになります。 |
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私は、ダイヤモンドのラウンドブリリアントカットがどのくらいの大きさで一番美しく輝くかを、ニューヨークやアントワープのカッターと、1970年代に何度も議論しました。5カラットになると、58面では物足りなく、もう少し面が欲しいところです。一方、0.1カラット以下では、果たしてこれだけ面が必要かどうか疑問です。何人かのカッターは2カラットサイズが一番バランスがとれていて美しいといって私も同意した覚えがあります。
ダイヤモンドは5カラット以上では形はペアーシェイプが多いのに気付きます。長手のペアーシェイプは特に大きく見えるので人気が高いのです。ラウンドでは2カラット以上になると輝きと分散光のバランスが変化し、ブリリアンシィに片寄ってきます。サイズの大きく見えるペアーシェイプの方が、ラウンドの輝きよりも存在感が高いのです。
0.01カラットのラウンドブリリアントカット(58面)とシングルカット(18面)を比べると、ほかの条件が同じ場合、シングルカットのほうが強く輝きます。またマーキスカットでは、3.5×1.8ミリ(約0.05カラット)以下ですと、いくら良い素材を使っても十分に美しさを引き出すことはできません。このように各々のカットには、美しい輝きを引き出せるサイズの限界があります。宝石にはサイズによって最適なカットの方法があることの理解が必要です。
大きさが価値に及ぼす要因はさまざまです。例えばデザインに合わせて宝石をカッとする時は、正確なサイズと品質の調和が要求されます。量産に対応するために同一サイズに研磨された宝石の価値は高くなります。このようなケースでは、目減りが多くなっても必要なものに仕上げられます。別の例では、最大限に大きくカットするのではなく、需要によって1個の原石から何ピースかの宝石を研磨します。この場合、丸ごと研磨すると濃かったはずの色が、小粒にしたために淡くなってしまうこともあります。元来結晶が淡めのアクアマリンのような宝石は、小粒で濃いものは貴重なのです。 |
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| 古代から宝石商は宝石を目方で売っていたことは書き残されています。現代でも正確・便利のために重さを表す昔ながらのカラットが使われています。しかし宝石がどれ位重たく感じるかで身に着けたくなる人はいません。宝石を買いに行く時「もっと重たいのはないですか」とは言わず「もっと大きいのはないですか」と聞きます。やはり宝石の魅力と品質と価値を考えると、サイズは重さではなく寸法が判定基準です。 |
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参考
3カラットサイズ(直径10ミリ)
10
カラットサイズ(直径15ミリ) |
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