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宝石辞典

多色性


ルビーやブルー・サファイヤをはじめ、複屈折(1本の光が宝石の中で2本の光に分かれること)の性質がある宝石は、角度によって二つ、または三つの異なった色が見えます。その顕著なものがアイオライトで、写真のように面1の方向からは濃いブルーに見え、面2の方向からはわずかに褐色を帯びた無色、面3の方向からも無色ですが、こちらはわずかに青みを帯びて見えます。

このように明確に分離されるのは、結晶の方向に対するカットの仕方によるもので、若干の角度の違いが宝石の美しさを大きく左右します。アイオライトの落ち着いた独特の美しさは、結晶の持つ多色性とそれを引き出す適切なカットによって生み出されているのです。この10年間、特に米国で人気のあるタンザナイトも、多色性の強い宝石の一つです。

品質の見分け方


透明度の高いバイオレット・ブルーの美しいものがジェムクオリティで、クオリティスケールの6~4、S、Aが相当します。縦の列のDを見ると、ミルキーで透明度の低いのがわかります。これらはアクセサリークオリティで、通常カボションカットにされます。ミルキーなカボションは優しい美しさを発揮し、価格も手頃なので、手軽に楽しめる装身具として活用されています。

選び方


透明度の高い、美しいバイオレット・ブルーが、アイオライトを選ぶ時のポイントです。本来低価格の宝石なので、ファセットカットのものを選ぶのなら、ジェムクオリティにこだわりたいものです。

アイオライトは激しい多色性のために、正面から見るとブルーであるものが、斜めから見ると淡くなったりするなど、極端に見え方が異なります。いろいろな角度から眺めて確認することが必要です。これはアイオライトの特徴なので、その違いを知っておくことも楽しみの一つです。

ファセットのものもカボションのものも、明度(Tone)7以上の色が濃すぎるものは避け、ジェムクオリティ以外では明度3をおすすめします。

3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり400USドルが目安です。(2001年現在)

アイオライト
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