パヴェにセットされた宝石がキラキラと輝くこのブローチは、四季の花シリーズの「春」を表したものです。特に、チューリップの花の部分に埋め込まれた小粒のイエローダイヤモンドは、レモンカラーのエッセンスを取り出したような美しい色合いが絶妙です。褐色を帯びず、淡めで混じりけのないピュアなイエローの一粒一粒が、計算されたデザインと丁寧な作りによって、自然には存在しない創造の美を完成させています。これほど美しい色のイエローダイヤモンドに出会えることは、非常に稀なことです。この作品を見ると、宝石より濃い色合いで、より無傷に近いもの、またダイヤモンドについては無色のものが品質が良いという錯覚から解放されます。
葉の部分は
、ディマントイドガーネットと、ごく小さいラウンドブリリアントダイヤモンドで構成されています。目を凝らして見ると、非常に小さなダイヤモンドが葉の先端まで留められているのがわかります。また、横に添えられた小さなハチは、本当に花の周りを飛び回っているようです。本物のはねのように、限りなく薄く仕上げられている上に、ダイヤモンドの輝きを十分に引き出しています。
|
チューリップのイエローをはじめ、小粒の宝石が出す色合いは、一品一品異なり、全く同じものを作ることは不可能です。そこが宝石を生かしたジュエリーの魅力といえます。形は同じに作れますが、小粒の宝石といえども一粒一粒に個性があり、それが集合してさらに個性を創ってゆくのです。
下の写真は、ガーネットのグリーンの微妙な色合いが生かされているブローチです。これは、「木の下から太陽の木漏れ日を受けて見る深い新緑の露に濡れた葉」をイメージして作られました。自然の創った宝石を使い、宝石種の特徴と美しさを熟知して、自然の一瞬の美しさを最大限に表現した作品です。ジュエリーでありながら、また芸術の域にあるものだと感じられます。このブローチの葉を返すと、小さなルビーのカタツムリが留まっています。 |