マッチングの難しさ
右下のルビーは、品質の異なったものを濃淡の順に7、6、5、4、3と、美しさの順にS、A、B、C、Dと並べ替えたものです。欠点のないもので美しさ、濃淡を揃え、さらに形、サイズを合わせるのがいかに困難かを理解していただくためのものです。宝石は自然の産物なので、色や特徴が一つ一つ異なり、同じように見えるものを集めるのは大変なのです。特に前項の3カラットサイズのルビー11個のマッチングはミャンマーモゴック産ルビーでは稀なことだと思います。人間にもそっくりさんが存在しますが、11人のそっくりさんを揃えようとしてもかなりの差がでてしまうのではないでしょうか。
合成石は、化学工場で設備と原料を準備すれば、5Sのものだけ1千個でも1万個でも、3カラットサイズをほとんど無限に生産することが可能です。今から100年余り前に、フランスの鉱物学者ベルヌーイが粉末状化合物を高温で溶かして合成ルビーを造ることに成功しました。当時は真贋がわからずに、本物として売られていました。現在に至ってもなお、消費者の中には本物と思い込んで持っている方も見かけます。それが合成と判明したときの落胆は大きく、宝石の信頼を傷つけています。それにもかかわらず、現在も合成石生産者は合成石をいかにも宝石でありように表現して販売を続けています。2100年になっても同じことを繰り返していたくはありません。合成石が装身具として人々を楽しませることに異議はありませんが、判別の容易な合成石を作り、宝石という表現を使わずに人工石、合成石ときちんと表現して良心的なビジネスをしてもらいたいものです。
|
|