主石を小粒のダイヤモンドで取り巻いたものは、今から200年以上前のネックレスにも見られます。当時はローズかっとやオールドマインカットのダイヤモンドが使われ、このリングのような美しい輝きが引き出されたものはありませんでした。また、このリングの主石のサファイヤは、モザイク模様のバランスがとれていて、ブルーの濃淡のめり張りのある、非常に美しく欠点のないものです。
ヴァン・クリーフ&アーペル社はこのスタイルをギャゼール(gazelle、カゼル、カモシカ)と呼んでいます。主石とそれを取り囲むダイヤモンドがカモシカの愛らしい目を連想させるからです。気づかれた方も多いと思いますが、このギャゼールのスタイルは世界中の多くのメーカーに真似されてきました。真似したものは「どのように安く作るか」がテーマになっていて、見かけは同じでこのリングの数十分の一で市販されてきたものがほとんどです。この本物をよく見てみると似て非なるものであるのが分かります。本当のジュエリーは「どの様にこの宝石の美しさを引き出し、心地良いものに仕上げるか」が練り上げられて、一つ一つ丁寧に作られるのです。本書に掲載した宝石店にはこれと同じスタイルは見られません。似通ったものを作ること自体プライドが許さないことですし、自分自身の証(アイデンティティ)を失うことにもなるからです。
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ギャゼールの特徴はサイズも美しさも異なる主石に合わせ、ラウンドダイヤモンドの最適な大きさと数を決めて、腕の太さと宝石の使い方を一つ一つ考えていくことです。腕のスタイルは時代とともに変化していて、下の写真のルビーのバゲットが並べられているものは、数十年前から作られているクラシックなものです。サファイヤのリングの腕は比較的新しいモデルですが、現在ではさらにモダンなスタイルのものも作られています。主石の良さ、腕のバランス、他のジュエリーとの相性を考えて選ぶことのできる夢のあるリングです。
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