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無処理と加熱処理

右のリングは無処理のミャンマーモゴック産サファイヤです。ブルーのモザイク模様の濃淡が宝石の中に美しく出ていて、優しいけれど力強さを感じるジェムクオリティのサファイヤです。また、サファイヤの中に角度によってかすかに60度に交わるルチルのシルクインクルージョンが見えます。これは天然のままの加熱していない証しです。宝石は自然が創ったものなので完全なものはありません。私は、シルクインクルージョンは美しさに決定的な影響を与えない限り受容すべきものだと思います。合成の無謬性を天然の宝石に求めるのは無理なことです。この延長線上に、天然宝石の極端な処理の考えがあることに気づく時がきていると思います。

下のリングは現在、市場の約90%を占める加熱処理のサファイヤです。濃淡のブルーのモザイク模様が美しいスリランカ産のジェムクオリティです。アクアマリンやシトリンには400度前後の加熱処理が行われてきましたが、このことによる支障はありませんでした。しかしサファイヤやルビーの加熱処理は、1600〜1900度の融点に近い高温加熱で耐久性が低下する問題が内在しています。スリランカで現地の業者は見ただけで無処理か加熱かと言い当てる人が多いのに驚かされます。無処理、処理は見た目だけではわかりにくいのですが、産地ごとに無処理、加熱処理のグループにして比べると、透明度や美しさの微妙な違いがはっきりとします。

20世紀の宝石学は天然宝石を合成石から守る歴史でした。21世紀は天然宝石のあらゆる処理を明確にして宝石ごとの品質を判定できるようにして、きちんとした価値を把握できる環境を整備することです。それはまた、本来処理する必要のない素材が人間の欲のためにむやみに処理されることを防いでくれることにつながると思います。

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