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品質・価値・価格

 

ジュエリーの本質的な価値は、身に着けて美しさを楽しみ、心地よさを感じることにあります。自分の好みに合うから、サイズが合って身に着けられるから価値があるのです。ジュエリーをギフトとして選ぶのも、最愛の人が着けるときの喜びや感動に価値を見いだすからです。利殖の対象としてジュエリーを買うというのは筋違いのことです。

誰でも、美しくエレガントな良質のジュエリーを身に着けたいと思っています。もし手に入れたものの品質が良くないことがわかったら、それを身に着けようという気持ちが薄れてしまいます。品質を知って、間違いないジュエリー選びが出来ると身に着ける自信が湧き、心地よさを実感出来ます。自分が気に入ったものも、その価値が市場の価値に見合っているかどうかというのは興味深い事柄です。価値を知るには、品質の見極めが必要です。ジュエリーの価値はその品質レベルの需要と供給によって決まるからです。
ジュエリーの品質は構想の善し悪し、素材の使い方、作りの丁寧さで決まります。特に構想の悪さは、ジュエリーにとっては致命的です。なぜなら、身に着けるというジュエリーの本来の目的を果たせないからです。たとえ素材が上等でなくても、作りがさほど丁寧でなくても、よく練られたジュエリーは身に着けて楽しむことができるものです。

宝石は自然によって創り出され、その品質は、自然によって支配されています。一方、ジュエリーは人間が考えて作り出すものなので、店やメーカーが品質を決めているといっても過言ではありません。お店のトップがデザインの方向性を決めるディレクター、素材である宝石を集める専門家、作りと石留めの技術者を選び育てます。トップの意思が、ジュエリー品質となって具体化するのです。第1章で取り上げた美しいジュエリーは、コストはかかっても良いものを作ろうという、店やメーカーの基本的な考え方があってこそ可能になったということを理解していただけると思います。
ジュエリーは、身を飾る道具の一つです。作りや構造がいくら優れていても、古すぎて身に着けられなくなったものは、歴史的なコレクションとして扱われます。その品質はジュエリーとは別の尺度ではかられることになり、歴史的な稀少性に対して高い価値が与えられます。コレクションとしての品質の高いものは、たとえ身に着けることが可能だとしても、劣化が心配で、日常身に着けることはありません。

ジュエリーの価値は、短期に激しく動くものではなく、大きな流れの中で変動するものです。長期的な変動は、宝石種の人気や産出量が大きく変化したときに、影響を受けるのです。たとえば、それまで高価だったアメシストが、19世紀に、ロシアのウラル地方の鉱山の発見や、ブラジルの増産によって暴落し、アメシストのジュエリーの価値が大幅に下落したことがあげられます。
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