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前ページのダイヤモンド価格変遷は、1900年〜2000年までをほぼ20年ごとに区分して、1カラットサイズ中級品のダイヤモンドの卸価格を円とドルで表示したものです。1900年と1920年の価格は「宝石百年」(1966年 若葉倶楽部発行)を参考にしました。当時、日本はヨーロッパから、船で何ヶ月もかかった極東の地であり、ドル価値は日本の価格から逆算したものなので欧米の水準と差があるかも知れません。また20世紀初頭は、産出量は現在の60分の1で、またカットもモダンブリリアントでないことも念頭に置いて参考にして下さい。

1900年と2000年を比較すると、円では¥100が¥500,000と5000倍に、ドルでは$50が$5000と100倍になっています。これはダイヤモンドの価値が変わったのではなく、インフレの結果、貨幣価値が低くなったと考えられます。1920年は第1次世界大戦後の好景気で値上がりしました。また日本では、1944〜1948年に円で約100倍になったのは、第2次世界大戦後のインフレがこの原因です。1980年の高騰は、米国でのダイヤモンド投機需要による一時的なもので、当時の1カラット以上のグレードの高いものの暴騰・暴落はすさまじいものでした。宝石は平常な時に気に入ったいいものを買って、身につけて楽しんでいれば、資産となって残ることをこの価値変遷表は、示しています。
店舗でも、カタログでも、テレビでも、またインターネットでも、販売のため費用が必要です。たとえば販売促進のために、ディナーショーや海外旅行、また温泉などにお客様を招待すれば、当然、その費用は価格に含まれることになります。図のAからBへの点線で、左(A)は製品価値が高く、販売費用の低いケース、右(B)はその費用の比率が高く、ジュエリーの製品価値が低いケースを表しています。どちらを選ぶかは、お客様の選択の問題です。

米国では、消費者がジュエリーを購入するときに、小売店で保険をかけることがあります。アプレイザラー(評価人)は製品価値ではなく、relacement value(代替品の価値)を前提に、小売価格に近い査定をします。

不当に高いものを買うのは避けなければなりませんが、販売のための人件費、店舗費、広告費等を認めないで自分だけ価値のあるものを手に入れようと欲張るのは感心しません。安さを強調して売っている所は、販売のための費用や利益を削っているのではなく、それだけ品質の低いものを扱っていると思ってほぼ間違いないからです。ダイヤモンド価値変遷表でお分かりのように、100年の歴史は長期的な値上がりを示唆しています。ジュエリーの賢い求め方は、安いからとか流行からではなく、自分が楽しめて受け継ぐ人に喜ばれると思う良いものを、余裕のある時に、例え高いと思っても思い切って買うことです。
品質を見極める目を養うためには、良いものを多く見ることと、可能ならば購入して身に着けてみることです。第1章に掲載したようなものの中の一つ二つを思い切って求めて身に着けてみると、判断レベルは間違いなく向上します。そして、手持ちのものと見比べていくと、ジュエリーの善し悪しの見分けと価値の判断がつくようになります。

第2章では、ジュエリーの品質の3要素である構想、素材、作りのことをまとめ、そしてジュエリーの傷み、リモデル、還流と再流通、流行と伝統について話を進めます。
新しく創られるジュエリーの小売価格(C)は、小売店やメーカーが価値を判断して、自社の方針で決めるものです。値段付けは、消費者の価値観との一致、他社との競争、コストなどの兼ね合いでなされる高度な経営判断事項です。お客様に自社の商品を知ってもらい、さらに理解を進め、購入に結びつけるための人件費、店舗費、広告宣伝費などは必須のものです。金地金の取引にはこのような費用は不要ですが、ジュエリーの販売は、これらの費用をかけなければ成り立ちません。
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