このリングは、マキシマムジェム、ミニマムメタル(Maximum Gem, Minimum Metal)を極めた、パヴェセットドーム型ダイヤモンドリングです。パヴェとは「敷きつめた」という意味で、下地の金属が見えないように宝石を密接して一面にはめ込むことです。貴金属を少なくしたことで、非常に重量が抑えられているのも特徴です。貴金属の重量4.3グラム、ダイヤモンド約0.6グラム(3カラット)、合わせて重量4.9グラム。手にしたとき、その軽さが印象的なリングです。
このリングと同じドーム型は、古代ギリシャ・ローマ時代にはすでに使われていました。パリのルーブル美術館のミュージアムショップで、その時代の複製リングを手にしましたが、フォルム(形)の美しさは見事なものです。非常に格調高く、しかもとても使いやすいものです。古代から、いろいろなフォルムのリングが作り出され、使われてきていますが、人間の思いつくフォルムはすでに出尽くしているようです。 |
このレベルのものができたのは、綿密な計画とデザインを具体化するための特別な素材が入手可能になったからです。
ジュエリーの良さは裏からみるとわかると言われています。プロデューサーの意図がよく見えてくるのです。下の写真のように、このリングでは、蜂の巣状に深く丁寧に裏取りがされてます。裏取りはフランス語でajour(アジュール)と言い、英語としても使われています。これは宝石に光を入れて美しさを発揮させ、またクリーニング時や使用中には意思の裏についた水分の乾燥を早めるためのものです。このように目に見えないところに時間をかけるのは、よりコストのかかることです。しかしジュエリーは一過性のものではなく、何度も繰り返し身に着けて美しさを楽しみ、心地良さを感じるものです。そのことを考えれば、手間をかけるに十分値するものなのです。 |