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宝石辞典
ブラック・オパール (無処理)

ライト・オパールは古くはローマ時代から、ハンガリーの北部で良質のものが産出されていました。それに対して、ブラック・オパールは長い間その存在が一般に知られていませんでしたが、1902年、オーストラリアのニューサウス・ウェールズ州のライトニングリッジから発見されました。その少し前からオーストラリアのクイーンズランド州とニューサウス・ウェールズ州からライト・オパールが産出し、ブラック・オパールの発見も伴ってオーストラリア産がハンガリー産を凌駕していったのです。

ブラック・オパールは輝きの強い遊色が石全体に表れているものが最も品質が高く、色が鈍く遊色が表れていない部分があるものが品質が低いとされます。またブラック・オパールは見る角度を変えると、別の遊色が表れます。この遊色の原因は科学的に解明されていますが、これを自然の力が作り上げたこと自体が不思議です。宝石とは呼べない、ただの鉱物のオパールは地球の表面付近に広く分布し、その何千、何億分の一の確率で自然が宝石のオパールを偶然に作り上げ、我々に与えてくれているのです。さらに見る角度によって全く別のパターンを示してくれるブラック・オパールの特性は、他の宝石に見られない神秘的な美しさを持っています。

ブラック・オパールは、ライト・オパールに比べ水分の含有が少なく、ひび割れの心配は少ないのですが、硬度は5~6で傷つきやすく衝撃に弱いので、ショックを与えないように身につけることが大切です。ブラック・オパールは特に日本人に好まれ、最近までは世界の産出量の半分以上が日本に輸入されていたと推定されています。

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