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宝石辞典

カットの種類


質量ともにアフガニスタンがラピス・ラズリの主産地です。1984年の内戦では、アフガニスタン政府はラピス・ラズリを大量に売って戦費を稼ぎました。このためラピス・ラズリの原石が多量に西側に出回り、価格も弱含みで推移しています。ラピス・ラズリの産地としてはほかに、シベリアのバイカル湖付近、チリ、アメリカなどがあげられます。

ラピス・ラズリ (無処理)

フラット


ラピス・ラズリはフラットにカットされますが、これはトルコ石、ジェダイト、オパールなどにはあまり見られない現象です。フラットにカットするとその美しさが最大限に発揮され、メンズリングやカフスボタン用に使われているものが多く見られます。研磨業者は耐久性と素材の規準化のため、厚みを2.5mmに定めています。それより薄くすると耐久性に問題が生じるうえ、目方の減少を価格に反映することが難しくなるからです。

カボション


リングやイヤリング用にはカボションカットに仕上げられるものが多く見られます。しかし、特に素材の優れているものにはカボションカットは使われません。最高品質の素材はフラットや逸品物の彫刻用に使用されます。通常カボションに使われる原石は、ジュエリークオリティかアクセサリークオリティです。また、ラピス・ラズリはアクセサリーとして多用されています。

ラピス・ラズリ (無処理)

彫刻


ラピス・ラズリの置物や小物などの彫刻類は、素材の善し悪しと彫刻技術の優劣がその判断の基準となります。素材の善し悪しの程度は、次ページ図の枠に大方合致させて判断します。明度とビューティグレードを同時に見るのではなく、まず明度を確定し、そのうえでビューティグレードを判定すると、かなり的確な判断が可能となります。

品質の見分け方


フラットなラピス・ラズリの品質の場合、第一に確認しなければならないのは天然の色であるかどうかという点です。特に着色は価値に大きな影響を与えるので、その有無や程度の確認は非常に重要で、メーカーは調達時にアセトンで検査を行います。信頼できる仕入れ先との継続的な取引が、品質安定の基本的な条件です。


第二に、美しい瑠璃色のブルーが石全体に広がっているかどうかを見ることです。一般的にグリーンみがかかっているとビューティグレードは下がり、パープルみが豊富なものがより美しいと判定されます。明度が淡すぎるものは別にして、濃さの程度は中くらい(明度5)のものが好まれる傾向にあります。


第三に、金色のパイライトと白色のカルサイト(肉眼で見える不純物)の有無です。本書ではジェムクオリティの中でも無地の瑠璃色を最高品質としていますが、パイライトがバランスよく入ったものは、多くの人の好みが反映されてビューティグレードが決められます。カルサイトは美しさを損なうので、これを含んだものはビューティグレードを低く判定します。


選び方


ラピス・ラズリを選ぶなら、ジェムクオリティの”真の瑠璃色”を手にしたいものです。比較的安い値の宝石に共通していえることですが、ジェムクオリティの中でもさらに良いものを選ぶのが、賢い買い方ではないでしょうか。


そのためには宝石のわかる専門店に足を運ぶことをお勧めします。店頭にジェムクオリティのものが並んでいないことには話にならないからです。さらにまた、通常高品質の素材には高いレベルのデザインと優れた加工がされているものなので、中途半端に安いものを購入しないよう留意すべきでしょう。


2グラムサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり300USドルが目安です。(2004年現在)


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