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宝石辞典

ムーンストーンの種類


ムーンストーンの地色は無色、グレイがかったブルー、わずかにブルーのかかったグリーン、黄色みのグリーン、淡いオレンジ、オレンジがかったブラウンなど多様です。そしてムーンストーン効果(シーン)がそれぞれの色みに応じて表れます。ここではスリランカ産のブルー・ムーンストーン、インド産のオレンジ・ムーンストーン、そしてインド産のレインボー・ムーンストーン(ラボラドライト)を紹介します。ムーンストーンはこのほか、ミャンマーなどでも産出されます。

ムーンストーン (無処理)

ブルー・ムーンストーン


無色透明に近い、ブルーがかったミルキーな帯状の光を放つものはスリランカ産です。かつては10カラットを超える大きなものが産出されましたが、現在は2カラット程度の小粒のものになってしまいました。特にブルーの強いものはロイヤルブルー・ムーンストーンと呼ばれ、珍重されています。

オレンジ・ムーンストーン


インドのマドラス州で産出される中に、写真のような多少褐色のかかったオレンジ・ムーンストーンがあります。色みはオレンジですが、淡めのものを中心に明度には幅があります。インドではオレンジ・ムーンストーンのほか、グレイのかかったブルー、ブルーのかかったグリーン、黄色みのグリーンなどのムーンストーンが産出され、同程度の価値とされています。

ラピス・ラズリ (無処理)

レインボー・ムーンストーン


インドではほかに、写真のようなミルキーな光を放つレインボー・ムーンストーンが産出されます。産出は非常に限られていて、価値はスリランカ産のブルー・ムーンストーンを上回るものもあります。レインボー・ムーンストーンは、鉱物学上はラボラドライトと呼ばれています。

品質の見分け方


通常ムーンストーンの善し悪しの決め手は、青みがかった帯状のミルキーな光(シーン)です。そのシーンが明確で、石の角度を変えるとシーンがスムーズに動くものが良いものなのです。ジュエリーとして使うことを考えると、カボションの輪郭、側面や高さなども善し悪しの貴重な決め手といえます。


ムーンストーンのクオリティスケールには明度の物差しは作れません。なぜなら無色(または白)から特定の色みに変化しないからです。ダイヤモンドのように、無色から黄色への明度の動きがあるものと異なるわけです。


ビューティグレードに関しては、他の宝石と全く同じように考えて差し支えありません。透明度、彩度(グレイみ、グリーンみ、ブラウンみ)、カット(外形、プロポーション、仕上げ)、インクルージョン(特に劈開)などが総合的に判断され、そこにシーンというムーンストーン効果が加味されて、ビューティグレードが判定されます。本書では、その透明度と美しさからSとAの条件をスリランカ産とし、インド産のトップをBとしました。ただし、スリランカ産といえども、品質の低いものはB以下となります。ジェムクオリティがSとA、ジュエリークオリティがB、アクセサリークオリティがCとDとなります。不思議なことに、ムーンストーンは金属の上に置くと光を増して、美しさが倍加されます。したがってジュエリーになったムーンストーンは、ルースの状態よりはるかに美しいことを知っておくとよいでしょう。


選び方


ムーンストーンは硬度が低いので、ジェムクオリティのものを選ぶなら青みのシーンがよく出るもので、ペンダントやネックレスにすることをお勧めします。ジュエリークオリティならば、ビューティグレードBのようにシーンの明らかなものを選ぶのが賢明です。B以下のムーンストーンの単価は低いので、アクセサリーとして気軽に気に入ったものを選ぶとよいでしょう。


3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり50USドルが目安です。(2004年現在)


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