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宝石辞典
スリランカ産サファイヤ (加熱)

サファイヤという言葉はラテン語で青を意味し、中世まではサファイヤといえばラピス・ラズリのことでした。サファイヤは紀元前7世紀以降、ギリシャ、エジプト、ローマでジュエリーとして使われ、中世には広くヨーロッパの王たちに好まれた宝石です。13世紀にスリランカを訪れたマルコ・ポーロも、その著書の中で、ルビーとともにサファイヤを高く評価しています。

スリランカのルビーは色が淡めで、ミャンマー(ビルマ)産と比べると価値が低いものが多い一方、スリランカのサファイヤは非常に重要です。通常サファイヤとルビーは同じ鉱山から採れますが、産地によりその比率が大きく異なり、スリランカではサファイヤが圧倒的にたくさん採れます。

サファイヤもルビーと同じくコランダムという鉱物で、ルビーがクロムの混入で赤色になるように、サファイヤは鉄とチタンの混入で青色になります。赤色以外のコランダムはすべてサファイヤとされますが、通常サファイヤといえば青いものを指し、その他の色のものをファンシー・カラー・サファイヤと呼んでいます。ファンシーにはイエロー、グリーン、ゴールデン、オレンジなどがあります。色の違いは微量成分と結晶構造の差に起因します。タイに持ち込まれるスリランカ産サファイヤは、加熱されブルーに改良されます。

スリランカ産サファイヤの特徴は、ほんのわずかパープルのかかったブルーで、次ページの写真でもわかるようにほかの産地のものを寄せつけない透明度の高さを持った美しいものです。スリランカ産サファイヤは色のつき方が均質ではなく、片寄っています。極端な場合は、キュレットの近くにほんのわずかのブルーの塊があるだけで、フェイスアップで見ると非常に美しい色を放つものがあります。フェイスアップで見て美しいということは重要なポイントです。これをリカットの時に色のついている部分を研磨してしまったら無色のサファイヤになってしまうわけで、カッターは色溜まりの場所と性質に細心の注意を払ってオリエンテーションをして研磨します。

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