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宝石辞典
コロンビア産エメラルド (オイル処理)

エメラルドは数千年の長い歴史を持つ宝石で、ギリシャ語のスマラグドスから名づけられました。1818年にその所在が確認された伝説のクレオパトラ鉱山(エジプト)では、古来、淡い半透明の品質のエメラルドを産出していたといわれています。しかし16世紀の終わりにコロンビアのエメラルドがヨーロッパに持ち込まれてから、エメラルドの歴史は変わりました。メキシコからペルーにかけて広まっていた美しく大粒のエメラルドは、征服者であるスペイン人によって大量に本国に運ばれ、カボションカット、ビーズカット、彫刻などに細工されて、ヨーロッパ、トルコ、イラン、インドの王室に持ち込まれました。ヨーロッパでスパニッシュエメラルドもしくはペルーエメラルドと呼ばれていたものが、このコロンビア産エメラルドなのです。

コロンビア産エメラルドは柔らかな美しいグリーンです。ブルーもしくはイエローがかかっていますが、純色に近く、彩度を下げるようなグレイみを感じさせません。コロンビア産エメラルドのビューティグレードを下げる主な原因は、透明度の低下とキズの増加にあるといえます。またコロンビア産は原石の表面に色が溜まっているケースが多く、そこを残して研磨されます。そのために形(なり)の悪いものが市場に出回っていることを理解しておく必要があります。色みについて他の産地と比較すると、コロンビア産のグリーンはクロム元素に起因し、ブラジル産やザンビア産のグリーンはバナジウム元素に起因しており、その違いがグリーンの色みの違いに出てくるのでしょう。

コロンビア産エメラルドの中でも特に美しい色をしているムゾー鉱山のものは、カシミール産サファイヤ、モゴック産ルビーとともに最も貴重なカラーストーンの一つですが、0.5~2カラットのジェムクオリティで比べるとエメラルドが最も高価です。また、素材の良い原石から研磨された美しく輝くラウンドブリリアントカットのダイヤモンドよりも高価です。
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