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宝石辞典

鉱山の特色


コロンビア産エメラルドは、世界のエメラルド産出量のおよそ50%を占めています。16世紀のスペインの攻略以来、約100の鉱山は、入れ替わりながらも少しずつ採掘が続けられてきました。コロンビア産エメラルドは各鉱山によって品質に特徴があり、さらに一つの鉱山の鉱区一つひとつにも特徴が見られるほど、その品質は多彩なものです。ここでは代表的なムゾー鉱山、チボー鉱山、コスクエス鉱山のエメラルドを比較して、違いを見てください。

コロンビア産エメラルド (オイル処理)

ムゾー鉱山


サンタフェデボゴタの北北西120kmに位置し、最高のエメラルドを産出する鉱山として知られています。チボー鉱山産に比べて黄色みが強く、濃いグリーンで柔らかな味を持っているのが特徴です。しかしキズが多く美しさに欠けるもの、透明度の低いもの、色みの悪いものなどの産出がほとんどで、ジェムクオリティは1%にも満たないとされます。さらに、研磨に値しないものを含めると、ジェムクオリティと呼べるものは千個に一個の割合だと思われます。

チボー鉱山


サンタフェデボゴタの東北東100kmに位置するチボー鉱山からは、ムゾー鉱山産に比べてブルーの強いグリーンのエメラルドが産出されます。内包物が少なく透明度の高いものが多いのですが、ムゾー産のジェムクオリティのような柔らかな感じとは異なるものです。チボー鉱山からの産出も、品質は千差万別で研磨に値するものは限られています。

コロンビア産エメラルド (オイル処理)

コスクエス鉱山


コスクエス鉱山は、ムゾー鉱山の北10kmに位置します。ムゾー鉱山とともに政府の管理に委ねられていたため、産出量は抑えられていました。産出する品質は写真のように淡めのグリーンで、ムゾー鉱山産、チボー鉱山産とは用意に判別できます。

品質の見分け方


エメラルドは宝石の中で一番キズが多いといわれています。べリルは無色の時はキズが少ないのですが、クロムやバナジウムという不純物が入った時グリーンとなり、それが結晶時に無理を生じさせ、キズを多くする原因になっているのです。現在のほとんどのエメラルドに無色のオイルまたは樹脂が含浸されています。面キズと呼ばれる、内部から表面に出てくるわずかな亀裂にオイルや樹脂を浸透させてより美しく見せる加工が施されているのです。化粧程度の含浸は何百年にもわたって行われていて問題は少ないのですが、含浸の程度の激しいものは一見良品に見えても、経年変化でキズがはっきりと見えて美しさを失う恐れがあります。面キズの大小は善し悪しの決め手となります。


コロンビア産の中でも6Sは、色が濃いにもかかわらず透明度が高く、優しさのある、自然の創り上げたまれに見る美しい品質です。


選び方


コロンビア産エメラルドの0.5~3カラットのジェムクオリティまたはジュエリークオリティを選ぶ場合には、オイルや樹脂含浸に影響されない、面キズの少ないものを選ぶことが大切です。コロンビア産エメラルドは原石の形が六方柱形であるため、大部分はエメラルドカットに仕上げられることが多く、ファンシーシェイプカットに仕上げられるものは限られています。ベーシックなエメラルドカットのものを選ぶのが、選択肢も多く賢明な方法といえます。


大きさを楽しむなら、ジュエリークオリティに目をつけるのも面白い選択です。ルビーや他の産地のエメラルドと違って、コロンビア産エメラルドは比較的大粒の原石を産出するため、大きくなるにしたがって1カラット当たりの価格の上昇がゆるやかになるので、大粒のものが他の宝石に比べて割安です。そして面キズについては商品知識の深いお店のアドバイスがやはり決め手になります。


1カラットで10万円とか10カラットで100万円前後のものは、天然のエメラルドに相違ありませんが、美しさに欠けるとか面キズが多いなど何らかの原因があり、価値は低いのです。アクセサリーとして楽しむものと割り切って選ぶことが大切です。


1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり3,000USドルが目安です。(2004年現在)
(このページと次ページに掲げた値段と上記のジェムクオリティの価値は、軽度のオイル処理の品質をベースにしたものです。極端にオイル処理等をしたものは一見美しく見えますが大幅に安いものがあるので、注意が必要です。)


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