logo

宝石辞典
title

現在世界に20数点あるといわれる、研磨済の100カラット以上のイエロー・ダイヤモンドのほとんどが、南アフリカ産です。1866年に南アフリカからダイヤモンドが発見されるまでは、長い間インドとブラジルがその主産地でしたが、イエローの産出はわずかでした。 南アフリカのケープ州から産出されるダイヤモンドには、イエローのものが多かったので、イエロー系のダイヤモンドを宝石商は「ケープ」と呼んでいます。南アフリカからの産出によってイエロー系のダイヤモンドは市場に溢れ、稀少性が低くなって価値が下がりました。それらのうち、濃いめで美しいもののみが特別扱いされて、ファンシーイエロー・ダイヤモンドと呼ばれています。

次ページの写真のマーキスカットのファンシーイエロー・ダイヤモンドは、レモン色をしていて、溢れるような美しさを持っています。いわゆるカナリヤ色のファンシーカラー・ダイヤモンドです。

この宝石は、輝きとともにモザイク模様のバランスが見事で、端正なふくらみを持った輪郭が格式を感じさせます。サイズや姿が同じようなカラーレスのダイヤモンドと比べると、私はこちらの方が断然美しいと思います。このような美しいファンシーイエロー・ダイヤモンドは、めったに見られません。宝石は厳密には一つひとつ異なるために、比較して本当に美しいものを見極めることが大切です。他の宝石と同じようにファンシーカラー・ダイヤモンドの場合も、その美しさは色を第一に、透明度、輝き、きらめき、姿の調和で決まります。

ファンシーカラー・ダイヤモンドはラウンドブリリアントカットに仕上げるケースが少ないことも注目に値します。採掘された素材を最大限に生かし、上から見て色が濃く美しくなるように、カッターが一つひとつのファンシーカラー・ダイヤモンドに思いを入れて、さまざまな形に仕上げているのです。

next