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宝石辞典

シャトヤンシーの宝石


キャッツアイと呼ばれる宝石は、通常クリソベリル・キャッツアイを指しますが、ほかにもエメラルド、トルマリン、クオーツ、アパタイト、ジルコンなど、約50種類のシャトヤンシーの出る宝石があり、宝石名の後にキャッツアイをつけて呼ばれます。これらの宝石のうち、針状のインクルージョンが一定方向に含まれるものをカボションカットすると、光を当てた時に収斂が起こり、シャトヤンシーが現れます。

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エメラルド・キャッツアイ


ブラジル産のエメラルドに良質のエメラルド・キャッツアイが見られることがあります。色が濃く、シャトヤンシーのよく出るものは非常に高価で、5カラットで2万ドルを超えるものもあります。最近では、コロンビア産のエメラルド・キャッツアイも見られます。写真はブラジル産のものです。

トルマリン・キャッツアイ


量としてはかなり産出されますが、宝石として透明度が高く、かつシャトヤンシーのよく出る品格のあるものは、多く見られません。低品質のものは不透明で、インクルージョンが多いためシャトヤンシーは出やすいのですが、透明度が高くなればなるほど針状のインクルージョンは少なくなり、シャトヤンシーが出にくくなるという矛盾があるからです。トルマリン・キャッツアイの色は、おもにグリーン、ブルーです。

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タイガーズアイ


タイガーズアイはシャトヤンシーを示すブラウンのクオーツです。色違いでブルーやグリーンのシャトヤンシーの出るクオーツは、ホークスアイと呼ばれます。タイガーズアイは南アフリカから非常に多く産出され、安価なものです。

品質の見分け方


キャッツアイの品質のポイントは、第一にシャトヤンシーの出方の具合、第二に最適な色と透明度、そして第三に姿・形となります。また、いうまでもなく、美しさを損なうほどの大きなキズは、品質を低くし価値を下げます。

間接照明下では光の帯が横に広がりますが、まっすぐに直接光を当てると、良質のものは一直線にしまった細い光の帯がカボションの真ん中に現れます。光の帯は石の色が透明になるほど弱くなります。つまり針状のインクルージョンが少なくなると、帯は見えなくなるのです。一方、あまりに石の色が不透明になると帯は明確に出ても、素材が良いものとはいえません。また、光の帯がカボションカットの縦方向に長く出るものが、より好まれます。シャトヤンシーをよく出すために、通常底部はすりガラス状にします。そこに原石の表面が残ることがありますが、問題はありません。それに加え、底部が深すぎてジュエリーにセットする障害にならないことが、ジェムクオリティの条件です。

キャッツアイの色は、前ページの写真のようなミルク・アンド・ハニーカラーが理想ですが、ほとんどはハニーカラーではなく、レモンカラー、グリーンみのイエロー、黒みのブラウンのものです。インドのオリッサ州で産出されるキャッツアイには、グリーンみのある形の整ったものが多く見られますが、産出が多いため現状では安価です。クオリティスケールの1C、1Dはオリッサ産で、ほかは現在の主要産地スリランカ産とブラジル産で構成されています。


選び方


シャトヤンシーがはっきり出ていて、動かすとハニーカラーとミルキーな部分がバランスよく変化し、姿・形の良いものを選ぶのが理想です。しかしこのようなものは、ほとんど存在しないのが現状です。リングのメインストーンとして適切な7~8ミリのキャッツアイは2カラットを超えますが、姿・形のおさまりの良いものというのを絶対条件に、シャトヤンシーの出方とカラーのどちらかに重点を置いて選ぶのが現実的です。特にルースで買う場合、底の部分が深すぎるものは選ばないように注意する必要があります。底が大きいとジュエリーとしてセットするのが困難で、結局使われない宝石になってしまう恐れがあるからです。

3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり5,000USドルが目安です。(2001年現在)

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