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宝石辞典
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トパーズの色でオレンジイエロー、オレンジ、シェリーカラー(赤みのあるオレンジ)のものを、インペリアル・トパーズと呼びます。トパーズは古代エジプト、ローマ時代から知られていました。1883年にアメシストを加熱すると美しいイエローのシトリンに変化することが判明し、これがトパーズでないにもかかわらず「ゴールデン・トパーズ」と呼ばれて大量に出まわり、市場は一時混乱しました。シトリンと区別するため当時ブラジルに在位したドン・ペドロ皇帝のインペリアルを冠して、インペリアル・トパーズと呼んだのが「インペリアル」の由来です。

インペリアル・トパーズは赤みの強いオレンジ色が好まれます。逆に黄色に近づくと、評価は低くインペリアルとしない人がいます。シェリー酒のような、オレンジよりさらに赤みのかかったものは極めて少なく、めったに見かけません。そのため、美しいものは非常に高価です。

トパーズは、大粒の結晶を産出する宝石です。また、インペリアル・トパーズの結晶は長めのものが多いので、研磨上がりも長めのものが多くなります。インペリアル・トパーズはシトリンの約10倍の価格であるため、研磨業者は可能な限り目減りを少なくするように考えます。その結果、一つひとつの形が画一的でなく異なったものとなり、ジュエリーも量産品ではなく手造りが多くなります。これは手間のかかる工程となりますが、高価な素材であるがゆえの魅力ともいえます。

シトリンとインペリアル・トパーズを見比べると、その違いがよくわかります。特に、白熱電灯下で見るインペリアル・トパーズには、オレンジにピンクがさします。明度(tone)が極めて淡い1、2のものや、ビューティグレードがBのものには、ほとんどシトリンとの違いが見られませんが、ジュエリークオリティ以上の、特にジェムクオリティのインペリアル・トパーズの美しさは、まさに何物にも代え難い、自然からの我々への贈り物の一つです。インペリアル・トパーズの色は天然で、加熱などの処理はされていません。

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