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宝石辞典

最適の色味


黄色は三原色のひとつとして代表的な色ですが、カラーストーンの色の中で占める割り合いは少数派です。赤はルビー、ロードライトに始まり、青はサファイヤ、アクアマリン、緑はエメラルド、ペリドットとその数も多く種類も豊富で実に全体の90%近くを占めるにおよびます。それに対して、黄色系の宝石はインペリアル・トパーズ、ファンシーイエロー・ダイヤモンド、イエロー・サファイヤなど種類は限られます。しかし黄色も淡い色からオレンジに近いものまで多彩です。それぞれの宝石には最適の色味があるので、持ち味が生きる微妙な色を選ぶことが大事です。そしてその微妙な色はその価値と密接に結びついています。

インペリアル・トパーズ(無処理)

インペリアル・トパーズ


イエローのものは、別にイエロー・トパーズと分類されることもありますが、オレンジの強くかかるものに比べて迫力に欠けます。同一の鉱物である限り屈折率、硬度、比重は同じですが、宝石としての美しさを最高に発揮できる色相と彩度は、品質の大切な要素です。インペリアル・トパーズは、オレンジみを持つことが、美しさを十分に発揮する条件です。さらに原石の良さと適切なカットが、宝石に強い輝きを与え、この写真のような美しいものになります。

ファンシーイエロー・ダイヤモンド


ファンシーイエロー・ダイヤモンドの美しさのポイントは、レモンカラーです。純粋なレモンカラーがいいのです。トパーズにはこのダイヤモンドに見られるような鮮やかなレモンカラーは存在しません。

インペリアル・トパーズ(無処理)

イエロー・サファイヤ


美しいイエロー・サファイヤはファンシーイエロー・ダイヤモンドと同じくレモン色がポイントです。オレンジみを良しとするインペリアル・トパーズとは異なります。同じ黄色みを持つ宝石でも、美しさには、自然が作りだしたものらしく微妙な違いがあります。特徴をとらえ、最適の色を知ることが大切です。

品質の見分け方


インペリアル・トパーズのクオリティスケールは色相の幅が特に大きく、ビューティグレードのSは赤に近いオレンジですが、Aの明度(tone)1~2はほとんど黄色です。Aの濃いめ(明度3~4)はその中間で、オレンジイエローです。

4S、4Aはインペリアル・トパーズとして最も好まれる色相です。これらの中に見えるモザイク模様は、濃淡のバランスがよくとれています。 淡すぎる黄色(明度2以下)や、黒みの強いオレンジからは、深い美しさが感じられません。

選び方


宝石は名称で選ぶのでなく、美しさで選ぶことが大切です。インペリアル・トパーズはシトリンの10倍の価値があるからといって、アクセサリークオリティの中から選んでしまっては、あまり意味がありません。アクセサリークオリティでは、両者の違いがほとんどないからです。しかしジュエリークオリティのインペリアル・トパーズは美しく、特に白熱電灯下で見るとシトリンとの違いがはっきりわかります。

3カラット前後の、ジェムクオリティのインペリアル・トパーズを使った、シンプルなデザインのペンダントは、30万~50万円で手に入れられます。次にどの宝石を買おうかと考えている方に、おすすめしたいものの一つです。3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり1,200USドルが目安です。(2001年現在)

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