諏訪恭一、ジュエリーを語る

2. 宝石の指輪はこわれやすい。

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「友人の結婚式でお祝いの拍手をしたら、ダイヤモンドが落ちてしまった」と、バンドリングが持ち込まれました。両手に指輪をはめて、指輪同士が当たるように拍手すると、20~30回で繊細な方は曲がってしまいます。指輪が曲がると、宝石を留めている爪(プロング)が開いたり、圧迫されたりして、石が落ちたり欠けたりするのです。宝石がセットされた指輪は繊細に仕立てられているので、太めの貴金属のリングに当たるとひとたまりもありません。当たった部分を見ると、たたいたような跡がはっきりと残っています。音楽会や結婚披露宴で、知らず知らずのうちに大切な指輪をこわさないように、手のひらをずらして拍手するなど気をつけるのが賢明です。

ジュエリーは身に着けることがなければ、宝石は硬いし貴金属もしっかりしていてこわれません。ブローチやペンダントは、気に入った指輪ほどには頻繁に使われない上に、ぶつけたりすることが少ないのでこわれることはめったにありません。しかし、指輪は常日頃から身に着けて使っていると、知らないうちにぶつけたり、強い力が加わったりして変形し、留められている宝石が外れてしまうこともあるのです。

アンティークジュエリーに指輪が少ないのは、傷みが激しくそのままでは再販売に適したものが少ないからです。指輪にセットされた大粒石ははずされて、新しいジュエリーに作り替えられて還流していきます。日本では宝石の指輪は、高価だからと大事にしまっておく時代が続いてきました。しかし「タンスの肥やし」にしてしまっては、宝石の指輪はこわれなくても「身に着けて楽しむ価値」を失ってしまいます。こわれやすいことを知った上で丁寧にはめ、長く楽しんで下さい。

拍手にご用心

2010/11/15