諏訪恭一、ジュエリーを語る

15. ダイヤモンドの買い取りから学ぶこと。

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先日、米国で手広く買い取りをしている業者が訪ねてきました。4~5年前からアメリカでもダイヤモンドの還流が盛んになっているので、日本でのビジネスチャンスを期待しての来日だったのです。

小粒のものから大粒のものまで、サイズや品質を問わず、何でも買い取っているようですが、ペアーシェイプやマーキスなどのファンシーシェイプの引き取り価格は、ラウンドの半分以下を提示していると言われたので、びっくりしました。

その理由を考えてみると、ファンシーシェイプでは縦横の比率や輪郭によって、エレガントなものとそうでないものの差が大きいことがあり、買い付けの現場では善し悪しの判断がつけにくいので、下限の価格設定になるためではないかと思います。

美しいファンシーシェイプに仕上がる透明度の高いラフダイヤモンドは限られているので、多くは美しさを犠牲にしたダイヤモンドに仕上げられてしまうのです。逆に考えると、輪郭の整った縦横の比率のよいエレガントなファンシーシェイプは圧倒的に少なく、貴重なものであることがわかります。

還流の現場は、ダイヤモンドの本質と選び方を示唆してくれます。

2011/12/27